かごしま文化財事典プラス

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文化財特集
鹿児島の歴史と文化財

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鹿児島の歴史と文化財

縄文・弥生

縄文人たちが暮らした鹿児島

 10,000年以上続いた縄文時代は,世界的にみても独特ですが,その中でも,鹿児島県地方には地域色の強い文化が広がっていました。

 まず,縄文時代の初めの頃に鹿児島で作られていた土器には,「縄文」がつけられませんでした。代わりにつけられていたのは,貝殻で施された文様でした。国の重要文化財である「鹿児島県上野原遺跡出土品」「前原遺跡出土品」,県指定有形文化財の「城ヶ尾遺跡出土品」は縄文時代早期の資料ですが,指定された土器の中には,貝殻で施された文様がついたものを数多く確認することができます。

 また土器の形についても,平底で円筒形や角筒形,壺形など,同じ時期の国内他地域と比べて非常に独特な形状をしています。

 なお,当時の様子は,国の史跡「上野原遺跡」に保存されています。

 また,理由はわかりませんが,縄文時代をとおして大規模な貝塚を形成しなかったことも特徴です。そうした土地柄ですが南西諸島を中心に小規模な貝塚は形成されており,国の史跡「宇宿貝塚」「住吉貝塚」,県指定有形文化財の「面縄貝塚出土品」「中甫洞穴出土品」は南西諸島の縄文時代研究において,同「出水貝塚出土品」や国指定史跡「阿多貝塚」,県指定史跡「市来貝塚」は縄文土器編年の研究等において,それぞれ日本考古学の進展に貢献した貴重な貝塚です。

 さらに,鹿児島には,現状どのようにしてもたらされたのか解明できない出土品があります。県指定有形文化財「町田堀遺跡出土品」のうちの「天附型石刀」は,縄文時代後期後半の遺物ですが,橿原文様をつけたもので,九州ではこの遺跡でしか出土していません。