「銭亀遺跡」（南種子町）は，旧石器時代最末期の石器作りの技術が確認できる，今のところ日本最南端の遺跡です。この遺跡から出土した細石核や細石刃，また石器を作る際に出る細かい剥片などについて，1点1点を細かく調べたところ，つなぎ合わせて（接合）元の石の形を復元することができました。その結果，石器の製作技術を分析することができました。

　また，「宮ノ上遺跡」（南九州市）では，遺跡の近くが石器に使われた石材の産地であること等もあり，35,000点を超える石器や石核などが出土しました。この遺跡でも接合作業を行ったところ，西日本でも有数となる成果があがりました。

　こうした接合資料などの出土品からは，石器の製作技術や製作に関わった人々の行動などが伺えます。銭亀遺跡については宮崎県から大隅半島にかけて見られる技術との類似点などが，宮ノ上遺跡については製作者集団の特徴や行動範囲についての検討などができたことなどから，県の文化財に指定されています。